2012 年 73 巻 6 号 p. 1426-1429
症例は47歳,男性.軽い腹痛と血便を主訴に受診した.腹部CT検査にて脂肪を主体とする小腸腫瘤と,これを先進部とする腸重積が疑われた.小腸造影では回盲部から約40cmの部に隆起性病変を認めた.Meckel憩室内翻または脂肪腫による腸重積症と診断し,単孔式腹腔鏡手術を施行した.切除標本には異所性膵組織を含む真性憩室が認められ,Meckel憩室内翻による腸重積症と確定診断した.術後経過は順調で,術後4日目に退院となった.本症例のように腸管拡張や浮腫の軽度な小腸疾患は腹腔鏡手術の良い適応となる.有症状の成人Meckel憩室は稀な疾患であるが,高度な技術を要する剥離や切離操作を必要としないため,単孔式腹腔鏡手術で安全に手術可能であると思われた.