日本臨床外科学会雑誌
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症例
内痔核を契機に発見された直腸神経内分泌細胞癌の1例
大塚 一雄桂 彦太郎北岡 昭宏岩田 辰吾枡本 博文加藤 仁司礒田 幸太郎岡本 英一
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2012 年 73 巻 6 号 p. 1491-1496

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抄録

内痔核の診断を契機に発見された,直腸神経内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は61歳男性,痔核嵌頓にて来院した.脱出腫瘤の一部は壊死をきたしていた.下部消化管内視鏡検査所見では,carcinoma,carcinoidが鑑別に挙がるSMT様腫瘤を認めた.腹部CT検査では,下部直腸の右側から前壁側にhypervascularな病変を認めた.肝,その他に転移を示唆するような所見は認められなかった.後日,痔核結紮切除術および腫瘤局所切除術施行した.病理結果は,低分化腺癌(mp,INFβ,ly2,v0,cut end(-))であった.さらに,cytokeratin染色にて陰性,chromograninA,synaptophysin染色にて,腫瘍細胞はそれぞれごく弱陽性,強陽性を示し,Ki-67/MIB-1にて80%と強陽性を示し,低分化型神経内分泌細胞癌と診断された.初診から10カ月経過してもなお,転移・再発の所見は認めていない.

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© 2012 日本臨床外科学会
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