抄録
症例は60歳,男性.嘔吐と腹痛および腹部膨満感を主訴に近医にてイレウスと診断され入院となった.CTで下行結腸に限局した狭窄部位を認めた.大腸癌イレウスが疑われ,内視鏡検査を施行したが明らかな腫瘤を認めなかった.注腸検査で下行結腸からS状結腸にかけて腸管の伸展不良を認めた.保存的加療を行うも症状の改善はなく,手術を施行した.術中所見でS状結腸に痙性変化が強い部分を認め,S状結腸切除術を施行した.病理検査ではAuerbach神経叢およびMeissner神経叢の萎縮を認め,後天性のsegmental hypoganglionosisを誘因としたイレウスと診断した.術後の経過は良好であり,その後同様の症状を認めていない.成人における大腸hypoganglionosisの症例は稀であり,今回手術加療が奏効した1症例を経験したので報告する.