2012 年 73 巻 8 号 p. 1983-1986
症例は60歳,男性.突然の嘔吐腹痛出現.次第に増悪し当院受診.X線写真上著明な腸管拡張あり緊急入院.手術既往なくCT上,上腸間膜動脈中心にwhirl signを認めた.小腸軸捻を疑い緊急手術施行.開腹所見は漿液性の腹水を少量認め小腸は全体に拡張著明.上腸間膜動脈を中心として小腸間膜が反時計回りに270°回転し軸捻,虚血に陥っていた.壊死には至っておらず軸捻を解除し小腸を全検索すると回腸末端より約10cm口側に4×2cm大の腸管内異物があり,腸切開して摘出.海藻類が一塊となったものであった.食餌性イレウスを契機とした小腸軸捻と診断した.後日患者より2日前に昆布を使った料理を摂取したことを聴取した.小腸軸捻の報告は散見されるが食餌性イレウスを原因とした小腸軸捻の報告は自験例を措いて他になく非常に稀な症例と考える.文献的考察を加え報告する.