抄録
症例は22歳,男性.突然の下腹部痛を主訴に来院.腹部・CT所見から下部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行.S状結腸穿孔を認めHartmann手術を行った.家族歴はなかったが,幼少時より皮下出血や指関節過進展,皮膚の血管透過性などを認め,術中脆弱な組織を認めたことから血管型Ehlers-Danlos症候群(以下EDS)と考えられた.術後34日目に突然の腹痛をきたし,再穿孔と判断し緊急手術を施行した.ストーマ口側に穿孔部を認め,穿孔部切除・横行結腸ストーマを造設.術後,集中治療を要したが,保存的に軽快した.皮膚生検を行い遺伝子検索で確定診断を得た.
EDSは結合組織の脆弱性をきたす遺伝性疾患で,血管型は動脈解離・破裂,消化管穿孔などを呈する最も重篤な型である.若年者の下部消化管穿孔では本疾患の可能性も考慮し,身体所見に着目すべきである.また,腸管吻合は再穿孔の可能性もあり行うべきではない.