日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存した多発早期胃癌と併存した肝原発腺扁平上皮癌の1例
浜辺 太郎小林 慎二郎櫻井 丈小泉 哲朝倉 武士大坪 毅人
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2012 年 73 巻 8 号 p. 2050-2054

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抄録

症例は71歳,男性.上腹部痛を主訴に近医を受診,上部消化管内視鏡検査で胃体上部,中部,下部に3カ所の隆起性病変を指摘,全て高分化型腺癌と診断された.血液検査で軽度の貧血と低Alb血症を認めた.AFP,PIVKA-IIは正常であったが,CEAは11.1ng/ml,CA19-9は194.4ng/mlと上昇していた.精査の結果,造影CT検査で肝S4に径6cm大の腫瘤を認め,下大静脈,左および中肝静脈への浸潤が疑われた.早期胃癌と肝内胆管癌の重複と診断した.肝内胆管癌が予後因子と考えられ,まず肝切除を行う方針とし,拡大肝左葉切除+下大静脈部分切除術を施行した.病理組織所見で肝腫瘍は原発性腺扁平上皮癌と診断された.術後7カ月間再発を認めなかったので胃癌3病変に対し内視鏡的切除を行い根治を得た.その後横隔膜に播種性転移を認めたが再切除し,初回手術から30カ月経過した現在も生存中である.

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© 2012 日本臨床外科学会
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