抄録
症例は68歳,男性.既往歴に胆嚢結石症手術,狭心症あり.2004年8月に背部痛を主訴に前医受診し閉塞性黄疸を認め,当科紹介受診した.中下部胆管癌の診断にて同年9月,膵頭十二指腸切除術を施行した.肝側胆管の追加切除を行うも,術中迅速病理検査では切除断端陰性は得られず.狭心症の既往もあり,過大侵襲を避けて肝切除は施行せず.術後病理診断においても肝側切除断端は上皮内進展陽性であった.術後,補助療法として胆管空腸吻合部近傍に計50Gyの放射線照射を行い,外来経過観察とした.その後,明らかな再発を認めなかった.しかし術後6年後,MRSA胆管炎による敗血症,肝不全を発症し死亡した.病理解剖にて胆管空腸吻合部に胆管浸潤癌を認めた.本例は術後6年間再発は明らかでなかったが病理解剖にて癌の遺残を認め,上皮内進展でも十分に注意する必要があると考えられた.