抄録
症例は75歳,女性.早朝からの右鼠径部の腫脹・疼痛を自覚し当院を受診した.腹部CT検査で右大腿部に軟部組織陰影を認め,右大腿ヘルニア嵌頓と診断した.腹腔鏡補助下にて緊急大腿ヘルニア修復術を施行した.鏡視下に大腿輪に嵌頓した小腸を確認し,併存病変・対側病変の無いことを確認した.次に大腿法で大腿輪から脱出したヘルニア嚢を明らかにしヘルニア嚢に切開を加えることなく嵌頓を解除した.鏡視下にて嵌頓の解除および腸管の色調を確認し,腸管の色調が次第に改善したため腸切除は不要と考えた.大腿部よりMesh Plug®を用いてヘルニアを修復した.術後経過は良好で第9病日に退院した.腹腔鏡補助下での大腿法による大腿ヘルニア修復術は,嵌頓腸管の血流障害の有無を確認でき,鼠径管内容物を破壊することなくヘルニアの修復が可能で有用であると考えられた.