2013 年 74 巻 1 号 p. 168-172
【緒言】腹腔内遊離ガスを認める症例は,消化管穿孔によるものが大多数である.腹腔内遊離ガスの原因が胆嚢穿孔である症例を2例経験したので報告する.【症例1】94歳男性.腹痛にて当院救急搬送されCTにて腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔と診断し,同日緊急手術を施行.消化管に穿孔部位はなく,胆嚢に穿孔部を認めた.【症例2】78歳男性.食欲低下および呼吸苦を主訴に前医入院.入院後検査のCTで腹腔内遊離ガスを認め消化管穿孔の診断で当院救急搬送され,同日緊急手術を施行.消化管に穿孔部位はなく,胆嚢に穿孔部を認めた.【考察】腹腔内遊離ガスを伴う胆嚢穿孔の症例を2例経験した.本邦には,腹腔内遊離ガスを認めた胆嚢穿孔の報告は2例であり,自験例を含め計4例と比較的稀な疾患である.【結語】腹腔内遊離ガスを認める症例の消化管穿孔以外に,鑑別診断として胆嚢穿孔を考慮する必要があると考えられた.