2013 年 74 巻 1 号 p. 226-232
症例は68歳女性で下腹部膨満感を主訴に近医を受診し下腹部腫瘤を指摘された.卵巣悪性腫瘍疑いで婦人科において開腹手術が行われたが術中所見で上行結腸間膜内に成人頭大の腫瘍が確認できた.腫瘍は周囲組織と強固に癒着していたため慎重に剥離を進め右半結腸とともに摘出した.摘出標本の免疫染色でAE1/3(-),EMA(-),αSMA(-),desmin(+),HHF35(+),caldesmon(+),s-100(-),CD34(-),c-kit(-),vimentin(-)であったため平滑筋肉腫と診断され,腸管筋層とは非連続性であったことから上腸間膜静脈またはその分枝から発生したと考えられた.1998年以降で結腸間膜に発生した平滑筋肉腫の報告は過去に11例で上行結腸間膜に発生したのは3例のみだった.また病理学的検索から腸間膜内を走行する血管平滑筋由来であることが確認できたのは自験例が初めてだった.