日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸壁に発生した悪性線維性組織球腫の1例
北村 美奈中村 誠昌下松谷 匠
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2013 年 74 巻 1 号 p. 39-42

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抄録

症例は50代,女性.1カ月前より左前胸部の腫瘤を自覚し近医を受診.経過が急速であり悪性を疑われ当科を受診した.初診時,超音波検査で左前胸部の大胸筋と小胸筋の間に約5cm径の腫瘤を認めた.内部は低エコーと高エコー部分が不均一に混在し,血流が豊富であった.胸部CTでは約6cm径の内部が不均一な造影される境界明瞭な腫瘤を認めた.また,10日後のCTで前回CTより30%の増大を認めた.以上より,悪性の胸壁腫瘍と診断し広範囲腫瘍切除を予定し手術を施行した.腫瘍の前面は大胸筋・小胸筋を切除,後面は腫瘍直下の第2~4肋骨までを切除しen blockで腫瘍切除を施行した.胸壁欠損に対してはComposite meshを使用し,再建を行った.術後病理の結果,悪性線維性組織球腫と診断された.術後Adriamycin+ifosfamide 療法を6クール施行し,術後1年の現在再発の所見は認めていない.

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© 2013 日本臨床外科学会
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