抄録
症例は60歳,男性.突然の右下肢痛と胸部苦悶感を主訴に前医受診.CTで下行大動脈から両側総腸骨動脈までのB型解離で腹腔動脈,上腸間膜動脈にも解離が及んでおり真腔は狭小化していたがエコー検査では明らかな血流低下は認めなかった.右総腸骨動脈は完全閉塞となっていた.緊急大腿動脈-大腿動脈バイパス術を施行し右下肢再潅流を果たした.術後abdominal anginaを発症し,下行大動脈は解離性動脈瘤を呈し拡大傾向を認めていた.そのため将来の下行大動脈瘤手術も考慮して上腸間膜動脈バイパスおよび右胃大網動脈バイパス術に加えて右腋窩動脈-大腿動脈バイパスを施行した.abdominal anginaは改善し一旦退院とした.
退院約1カ月後,下行大動脈人工血管置換術を施行した.送血は大腿動脈-大腿動脈グラフトより行い頭部,腹部および下肢への送血に配慮した.術後経過は良好で術後20日目に軽快退院となった.