日本臨床外科学会雑誌
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症例
Bacterial translocationによる敗血症が疑われた単純性イレウスの2例
川北 雄太石山 智敏神宮 彰松本 秀一竹下 明子鈴木 知信
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2796-2802

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抄録

症例1は84歳,女性.単純性イレウスの保存的加療中に突然の高熱とショック症状を呈した.血液培養と便培養の両方から腸内細菌の一種であるKlebsiella oxytocaが検出され,bacterial translocation(以下,BT)による敗血症性ショックを発症したと考えられた.抗菌薬投与と全身管理によって状態は改善し,無事退院となった.症例2は35歳,女性.単純性イレウスに対するイレウス解除術の術後経過中に突然の高熱とショック症状を呈した.血液培養から症例1と同じくKlebsiella oxytocaを検出し,他に感染源が指摘できないことからBTによる敗血症性ショックと診断した.抗菌薬投与やエンドトキシン吸着療法などの集中治療によって状態は改善し,無事に退院となった.BT は様々な原因で発生し得るが,なかでもイレウスはBTの発生条件を満たす病態であることに留意する必要がある.

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