日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下膵体尾部切除術を行った嚢胞変性した膵内分泌腫瘍の1例
湯澤 浩之肥満 智紀梅枝 覚
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2896-2900

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抄録

患者は71歳,男性.心窩部痛で当院受診し画像検査で膵体尾部に多発嚢胞性病変を認めた.尾部の多房性嚢胞性病変は20mm大で,内部に造影増強効果を有する不整形の充実成分を伴っていたため,悪性病変も否定できなかった.確定診断を兼ねて腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した.術後経過は良好で第14病日に退院した.病理検索で膵尾部の病変は嚢胞変性したwell-differentiated endocrine tumor(benign behavior)で,体部の嚢胞は多房性の単純嚢胞であった.完全腹腔鏡下の脾摘を伴う膵体尾部切除術は,本症例のような膵体尾部の良悪性境界病変に対する選択枝の一つになり得ると考える.

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© 2013 日本臨床外科学会
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