日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
肺癌を併発した粘膜筋板由来食道平滑筋肉腫(15cm)の1例
中野 順隆寺島 秀夫高橋 一広今村 史人堀口 尚神賀 正博
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 11 号 p. 3003-3010

詳細
抄録

患者は69歳,男性.胸部痛・発熱を主訴に近医を受診し,精査にて下部食道から胃弓隆部にかけての全長約15cm,最大横径約8cm大,亜有茎性の腫瘍を認め,生検では間葉系腫瘍が疑われた.加えて,右肺尖部に原発性肺癌の存在が疑われ,加療目的に当院へ紹介となった.来院時,急速な発育に伴う腫瘍壊死によって弛張熱・貧血・重度栄養障害を合併していた.腫瘍摘出以外に,全身性消耗状態からの離脱は困難と判断し,食道亜全摘・高位胸腔内食道胃吻合,右肺上葉部分切除術が施行された.病理組織検査では,紡錘形の腫瘍細胞が不規則に交錯し増殖しており,免疫染色検査によって,平滑筋肉腫と確定診断された.発生母地は,食道固有筋層は残存しており,粘膜筋板と考えられた.右肺尖部腫瘍は腺癌の診断であった.粘膜筋板由来の巨大食道平滑筋腫に原発性肺癌が同時性に合併した極めて稀な症例を経験したので報告する.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top