2013 年 74 巻 12 号 p. 3410-3415
症例は61歳の女性で15年前にWegener肉芽腫症と診断された.治療により寛解したが,60歳時,Wegener肉芽腫症に関連した頸椎の脊髄症を発症した.ステロイドパルス療法,シクロホスファミドの投与を受け一時改善したが,再燃したため入院した.入院50病日に強い腹痛を発症し,消化管穿孔を疑い開腹したところ横行結腸に穿孔を認めた.結腸を部分切除し人工肛門を造設した.術後14日目に再度消化管穿孔を発症し開腹した.人工肛門口側の結腸に穿孔を認めたため,右側結腸を切除,回腸人工肛門を造設した.穿孔部位の病理所見はいずれも血栓を伴う非特異的な虚血性潰瘍であった.Wegener肉芽腫症に関連した消化管病変はまれであり,病理組織学的検査で特徴的な血管炎が証明されないことも多いが,文献的考察によると消化管病変は血管炎が原因であり,治療中は消化管病変の合併も念頭に置き治療経過を観察するべきである.