日本臨床外科学会雑誌
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症例
TAEで待機的切除が可能となった直腸GIST出血の1例
長瀬 勇人諸橋 一矢口 慎也坂本 義之村田 暁彦袴田 健一
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3420-3424

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抄録

症例は76歳,女性.排尿困難・下血を主訴に近医を受診した.入院時,画像検査で骨盤内に最大径約10cmの腫瘍性病変が認められた.入院後,大量の性器出血と下血を認め,出血性ショックとなった.持続する出血に対してtranscatheter arterial embolization(TAE)を行い,ショックを離脱した.後日,下部消化管内視鏡検査で下部直腸から肛門管にかけて粘膜下腫瘍が認められ,gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断された.メシル酸イマチニブを用いた術前補助化学療法を行い,腫瘍の縮小が認められ,根治切除が可能となった.直腸GISTは下血・性器出血を主訴に発見されることがあり,まれに出血性ショックとなる場合がある.出血性ショックをきたした直腸GISTに対してTAEを施行し,術前補助化学療法後に根治切除を行い得た症例を経験したため報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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