日本臨床外科学会雑誌
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症例
直腸転移・胃転移を認めた乳腺浸潤性小葉癌の1例
佐々木 寛小笠原 豊川崎 賢祐久保 孝文山川 俊紀間野 正平
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2013 年 74 巻 2 号 p. 362-366

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抄録
再発乳癌は骨・肺・肝などに好発するが,消化管転移はそれらに比べると著しく少ない.浸潤性小葉癌の術後に直陽転移・胃転移をきたした1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
症例は58歳,女性.主訴は腹痛・下痢・下血.他院にて左浸潤性小葉癌にて胸筋温存乳房切除術を受けた.術後診断はT2N1M0 Stage IIB,ER(+),PgR(-)であり,術後内分泌療法,化学治療法が行われた.術後8年目より腰痛出現し多発性骨転移および多発性肝転移と診断.当院にて放射線治療,化学療法が行われたが腹痛・下痢・下血出現.大腸内視鏡にて直腸の全周性狭窄を指摘され転移性腫瘍が疑われた.胃内視鏡でも多発性の粘膜下隆起性病変を指摘され直腸病変と同様の生検結果を得た.内視鏡所見および臨床経過より乳癌の直腸転移・胃転移と診断.生検部の免疫染色・原発巣との病理学的な比較にても浸潤性小葉癌の直腸転移・胃転移と診断された.
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© 2013 日本臨床外科学会
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