抄録
明治大学黒川農場の里山管理における目標とする里山像について整理するとともに,その際のコーディネートについて検討した。里山保全の基本的な姿勢を一般的に検討すると,1) 新しいレクリエーションの場,2) 伝統的な里山風景の再現の場,3) 現在,生息・生育している動植物の保全の場,4) 生産の場,5) 遷移に任せる場,6) 里山と関わる新しい生活に位置づけられた場がみとめられた。黒川農場では,3) 現存の動植物の保全と2) 伝統的な風景の再現のあいだで対立がみられた。今のところ前者は自然生態園において,後者は西緑地において採用され,ゾーニングによって対応している。里山管理には長時間を要するので,管理担当者が変わっても継続される仕組みを作る必要がある。