日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下胆嚢摘出術時の腹腔内落下結石が背部に穿破した1例
道躰 幸二朗渡邉 学浅井 浩司松清 大大沢 晃弘草地 信也
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2013 年 74 巻 2 号 p. 498-502

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抄録

症例は74歳の男性.胆嚢結石,総胆管結石,急性胆管炎にて当院入院となった.総胆管結石に対し,経内視鏡的乳頭括約筋切開術を施行後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中腹腔内落下結石を認めたが鉗子にて回収した.術後より発熱,腹痛が持続し,術後第3病日に施行した腹部CTにて大量のfree airと十二指腸の炎症性肥厚を認めた.術中操作による消化管穿孔を疑い,同日緊急開腹手術を施行した.手術所見では胆嚢床部を中心に膿性腹水と炎症性変化を認めたが,明らかな消化管穿孔部は認めず,洗浄ドレナージ術のみ施行した.術後炎症反応が遷延し,腹部CTにて肝下面に結石像と膿瘍形成を認めたが,保存的加療により軽快し,術後第43病日に退院となった.退院後外来経過観察していたが,初回手術より約4カ月後に右背部腫瘤が出現した.腹部CT上,肝下面から連続する腹壁膿瘍を認め,皮下に結石と思われる高信号が確認された.同日切開排膿を行い,創部より経5mm大の結石を計4個排石した.その後の腹部CTにて結石は認めず,経過良好にて退院となった.

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