日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内遊離体嵌入によりHowship-Romberg徴候を示した閉鎖孔ヘルニアの1例
阿尾 理一冨松 聡一宇都宮 勝之村山 道典井上 公俊
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2013 年 74 巻 2 号 p. 576-579

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抄録

症例は82歳,女性.2年前より時々右股関節から大腿内側にかけての疼痛発作を生じ,その都度精査を実施したが原因不明であった.肺アスペルギルス症で当院内科入院中,同部位に激痛が出現したため当科にコンサルトとなった.身体所見上,右大腿内側に約1cm大の硬結を触知し,同部位に強い圧痛を認め,Howship-Romberg徴候陽性であった.腹部CT検査では,右外閉鎖筋恥骨筋間隙に12mm大の石灰化病変を認め,2年前の同検査では骨盤内仙骨前面に約8mm大の同様の石灰化病変を認めており,腹腔内遊離体が閉鎖孔ヘルニアへ嵌入して痛みの原因になったと考えられた.鼠径法による閉鎖孔内異物除去と閉鎖孔ヘルニア修復術を施行し,その後は疼痛発作は消失した.閉鎖孔ヘルニアへの腹腔内遊離体嵌入が原因で大腿内側部痛を惹起した症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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