日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸第四部に孤立性腹膜播種性転移をきたしたS状結腸癌の1例
千田 貴志尾形 章吉村 光太郎芝崎 暎仁福田 啓之宮崎 勝
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2013 年 74 巻 3 号 p. 745-749

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抄録

症例は73歳,女性.S状結腸癌に対しS状結腸切除術を施行した(S,type 2,40×30mm,pSE,ly3,v2,pN3,sH0,pP1,pCY1,cM0,Stage IV,D3,Cur B).外来にて術後補助化学療法を約1年間施行し,以後明らかな再発,転移の兆候なく経過していた.術後3年10カ月後に食思不振,嘔気を主訴に受診し,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸水平部に全周性狭窄を伴う2型腫瘍を認め,病理組織検査にて中分化型腺癌の診断であった.十二指腸癌もしくはS状結腸癌の十二指腸転移による腸閉塞の診断にて,十二指腸部分切除術を施行した.病理組織検査にて,腫瘍の組織型はS状結腸癌との類似性を示し,深部病変でより陳旧性病巣を示唆する所見を認めたため,腫瘍は漿膜から全層性に進展したものと判断され,S状結腸癌の十二指腸転移の診断となった.大腸癌の再発形式として十二指腸への孤立性腹膜播種転移はまれなものであり,文献的考察を踏まえて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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