抄録
症例は64歳,女性.2012年6月に上腹部痛を主訴に受診し,単純CT検査,下部消化管内視鏡検査にて下行結腸癌と診断した.翌日の造影CT検査にて動静脈多発血栓症と上腸間膜動脈血栓塞栓症を認め,緊急手術を施行した.術後抗凝固治療を行い,状態の安定化を得たのち待機的に左半結腸切除術を施行した.担癌患者が過凝固状態となり静脈血栓を伴いやすいことはTrousseau症候群として古くから知られているが,癌に対する治療前に動脈血栓を伴い,さらに上腸間膜動脈血栓塞栓症を発症した症例は極めて稀であると考えられたため,文献的考察を加えて報告する.