日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断が困難であった膵血管腫の1例
久保 秀文中須賀 千代多田 耕輔宮原 誠長谷川 博康山下 吉美
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2013 年 74 巻 3 号 p. 801-805

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抄録

症例は40歳女性で上腹部痛にて受診した.腹部USでは膵体部に径8cmの内部エコーが不均一なパターンを呈する腫瘤を認めた.腹部CTでは腫瘤は境界明瞭であり中心部は低吸収で辺縁部はやや高吸収を示したが,dynamic CTではほとんど造影されなかった.血液検査所見および腫瘍マーカーには明らかな異常所見は認めなかった.術前の画像診断では確定診断に至らず悪性も否定はできなかったため手術を施行した.腫瘤は膵体部前面に存在し境界明瞭・弾性軟の楕円球体であり.表面の被膜を開排すると大量の血腫が流出してきた.これらの血液塊および可及的にすべての被膜を含めた腫瘤を背面の膵実質を損傷しないように摘出した.病理組織学的に海綿状膵血管腫であった.術後経過良好にて第12病日目に軽快退院した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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