日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下修復術を施行したラジオ波焼灼術後横隔膜ヘルニアの1例
河岡 徹桑原 太一金子 唯原田 俊夫平木 桜夫福田 進太郎
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2013 年 74 巻 4 号 p. 906-911

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抄録

症例は76歳,男性.主訴は心窩部から右季肋部にかけての疼痛.多発性肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術(以下,RFA)を計5回受けていた.来院時のCTでは右横隔膜の欠損と右胸腔内への横行結腸の脱出を認めた.肝右葉は肝硬変により著明に萎縮していた.横隔膜ヘルニア嵌頓と診断したが,疼痛は翌日には消失し,腸管虚血・閉塞症状も認めなかったため,待機的に鏡視下手術を行った.ヘルニア門は6×3.5cm大で,横行結腸の嵌頓はすでに解除されていた.ヘルニア門を縫縮後,Composite Meshで腹腔側から補強した.RFA後の遅発性合併症である横隔膜ヘルニアは本邦で14例の報告しかなく,その中でも鏡視下に整復した症例は本例が初めてである.背景に高度の肝硬変・肝萎縮を伴っているADL低下症例が多いため,嵌頓が容易に解除される症例などに限定すれば,低侵襲である鏡視下ヘルニア修復術も検討するべきである.

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© 2013 日本臨床外科学会
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