日本臨床外科学会雑誌
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症例
Total gastroesophageal dissociationを施行した続発性食道気管支瘻の1例
西 明黒岩 実鈴木 則夫
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2013 年 74 巻 4 号 p. 912-916

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抄録

症例は精神運動発達遅滞を有する5p-症候群の27歳男性.20歳頃から固形物摂取が困難となり,27歳時にコーヒー残渣様嘔吐と貧血が出現し当科紹介.食道裂孔ヘルニア,高度食道狭窄の診断で,噴門形成,胃瘻造設を施行.術後1カ月で食道ブジーを行ったが,狭窄は治療抵抗性であり,4回目のブジー時に食道気管支瘻が判明し保存的治療施行.一時瘻孔が閉鎖したが経過中に瘻孔再発し手術(中下部食道切除,瘻閉鎖,食道胃接合部閉鎖,Roux-en-Y脚を挙上し口側食道空腸吻合)を施行した.胃をリザーバーとして用いるtotal gastroesophageal dissociation での再建となった.術後はすぐに胃瘻使用が可能であり栄養管理容易で経過良好であった.逆流性食道炎による著明な食道狭窄は治療に難渋することが多い.各症例のQOLや病態を考慮した治療戦略を練ることが重要である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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