抄録
症例は81歳,男性.左主気管支への浸潤を有するStage IVa胸部上中部食道癌との診断で当センター入院となった.放射線化学療法(5-FU 700mg/m2,CDDP 70mg/m2,RT 60Gy)を導入したところ,3コース目終了後に突然の腹痛を訴え緊急入院となった.緊急入院時の腹部CT検査で,下行結腸の壁肥厚とfree air,腹水貯留を認めたため,消化管穿孔との診断で同日緊急手術を施行した.開腹所見では下行結腸脾弯曲寄りに約25mm大の穿孔を認めた.穿孔部を含めた結腸部分切除術,横行結腸人工肛門造設術,下行結腸粘液瘻造設術,腹腔内ドレナージ術を施行した.術後経過は良好で第23病日に退院となった.
食道癌に対する5-FU/CDDP療法中の下痢や腹痛などの腸管粘膜障害はしばしば散見されるが,大腸穿孔は非常に稀と考えられ,文献的考察を加えて報告する.