抄録
近年,超高齢者の肝胆膵領域の悪性腫瘍も多々発見されるが,この領域の手術は侵襲も大きく,致命的合併症も多く,治療に悩まされることも少なくない.症例は84歳の女性.発熱および黄疸にて紹介となる.糖尿病,高血圧の既往があり,下部胆管癌の診断のもと亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行するも,術後より間欠熱が続き,術後11日目にして,中心静脈カテーテル挿入部位の右内頸静脈内血栓,敗血症性肺塞栓症(Septic Pulmonary Embolism:SPE)が明らかになった.その後,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal Scalded Skin Syndrome:SSSS)を併発したが,適切な抗菌薬の投与により軽快され,術後51日目に独歩退院となった.高齢者における高侵襲手術は,重症感染症を引き起こす可能性が常にあり,これらの疾患を念頭に置く必要があると思われた.