抄録
症例は68歳,男性.検診で便潜血陽性指摘後,早期下部直腸癌と診断され,腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を受けた.摘出標本上,主病巣の口側に粘膜下腫瘤様の小病巣を2箇所に認めた.これらの小病巣(それぞれ3.5mm大,3mm大)は共に病理組織学的に神経内分泌腫瘍であり,3.5mm大の病巣には軽度の脈管侵襲が認められた.深達度は粘膜下層にとどまり,mitotic countは高倍10視野で2個未満Ki67標識率は2%未満であり,2010年版WHO分類1)に基づいてgastrointestinal neuroendocrine tumor(GI NET)のG1と診断された.腸管傍リンパ節にGI NETの多発転移を認めた.直腸腺癌にリンパ節転移は認めなかった.微小な直腸神経内分泌腫瘍でNET G1と診断された場合も,脈管侵襲等の悪性指標に基づき,追加切除や厳重な経過観察を考慮することが必要と考えられた.