2013 年 74 巻 5 号 p. 1336-1340
転移性大腸癌は比較的稀であり,なかでも結腸癌の直腸転移報告例は極めて少ない.今回われわれは横行結腸癌術後に孤立性直腸転移を認めた症例を経験したので報告する.症例は65歳男性.横行結腸の全周性2型進行癌に対して横行結腸切除術施行(R0).病理所見は高~中分化腺癌,SS,N1,M0,H0,P0,ly1,v1,stage IIIaであった.術後1年4カ月で転移性肝癌に対して肝部分切除術施行,初回術後2年7カ月よりCEAの上昇を認め,精査の結果直腸転移の診断で腹腔鏡下低位前方切除術施行した.以後無再発生存中である.病変は粘膜下腫瘍の形態であり,粘膜下層から筋層を主座とする原発巣と類似した腺癌であったため横行結腸癌からの転移として矛盾しないと診断された.結腸癌の直腸転移は稀であるが,その可能性を念頭に置いたサーベイランスが肝要であり,本症例においてはPET/CT検査の有用性が示唆された.