日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢に発生し扁平上皮癌の成分を持った「いわゆる癌肉腫」の1例
夏目 誠治平松 和洋加藤 岳人柴田 佳久吉原 基青葉 太郎
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1348-1353

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抄録

癌肉腫は同一腫瘍内に上皮由来の癌と間葉系細胞由来の肉腫が混在する腫瘍であり,中でも「いわゆる癌肉腫」は癌腫の一部が肉腫様に変化したものとされる.一般的に,その上皮性腫瘍成分は腺癌であることが多く,扁平上皮癌であることは稀である.今回われわれは,胆嚢に発生し上皮性腫瘍成分が扁平上皮癌であった「いわゆる癌肉腫」の1例を経験したので報告する.症例は68歳の女性.嘔吐と食欲不振を主訴に受診し,十二指腸球部浸潤を伴う進行胆嚢頸部癌の診断で,拡大胆嚢摘出,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に扁平上皮癌と紡錘形細胞腫瘍の混在を認め両者の間に移行像を認めた.紡錘形細胞腫瘍は上皮系マーカーであるkeratinによる免疫染色において陽性であり,「いわゆる癌肉腫」と診断した.術後3カ月で肝転移と腹膜再発により死亡した.

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