抄録
症例は79歳,女性.化膿性手関節炎の診断に難渋して長期間NSAIDとステロイドを内服中であった.手関節炎の術後に突然発症した上腹部痛が増悪したため当科紹介となった.腹部造影CTでfree airと腹水,空腸壁の浮腫を認め,消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.十二指腸水平部に穿孔を認め,憩室や異物は認められなかった.発症後2日経過していたことから単純縫合閉鎖ではなく空腸パッチ+大網被覆術を施行したが,術後縫合不全をきたした.状態が落ち着いてから十二指腸水平部までの上部内視鏡検査を施行したが,穿孔部以外には明らかな潰瘍の痕跡を認めなかった.非常にまれな憩室や異物を認めない十二指腸水平部穿孔の1手術例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.