日本臨床外科学会雑誌
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症例
虚血性大腸炎に併発した狭窄型虚血性小腸炎の1例
鷹合 真太郎森下 実松之木 愛香荒能 義彦飯田 茂穂湊 宏
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1538-1542

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抄録

症例は80歳,女性.腹痛を主訴に来院し,イレウスの診断で入院した.下部消化管内視鏡検査では,S状結腸に粘膜の浮腫と潰瘍性病変を認め,虚血性大腸炎と診断した.絶食輸液による保存的加療を継続したが,入院77日目に小腸イレウスを発症した.イレウス管挿入により軽快したが,再燃したため,入院98日目にイレウス解除のため手術を施行した.手術所見では,回腸の2カ所に索状狭窄を認めた.結腸では横行結腸からS状結腸に至るまで管状に細径であり,その肛門側が高度に狭窄していた.回腸の狭窄病変については,回盲部切除術を施行し,S状結腸の狭窄病変に対しては,結腸切除術は行わず,狭窄部口側の結腸に人工肛門を造設した.切除標本では,小腸狭窄部の壁肥厚と内腔の狭窄を認め,病理学的検査で虚血性小腸炎と診断された.虚血性大腸炎に併発した狭窄型虚血性小腸炎は報告例が少なく,極めて稀な症例と考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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