抄録
症例は65歳,男性.陰嚢腫脹と排尿障害を主訴に当院を受診し,巨大鼠径ヘルニアを伴う両側鼠径ヘルニアと診断した.腹部CTにて左鼠径ヘルニアには腸管の脱出を認めなかったが,右巨大鼠径ヘルニアには回腸から上行結腸までの脱出を認めた.巨大鼠径ヘルニア手術に伴い術後呼吸不全や深部静脈血栓症を合併する可能性があることに関して十分インフォームドコンセントを得たうえで手術を行った.巨大鼠径ヘルニア修復術に対して腹腔鏡下アプローチから開始したが,ヘルニア嚢と腸管が強固に癒着しており,前方アプローチを追加して脱出腸管を腹腔内に還納した.腹膜前腔にDirect Kugel Patchを留置し,経過順調にて術後5日目に退院となった.1983年から2012年までの巨大鼠径ヘルニア本邦報告10論文に自験例を含めて臨床的因子を集計したため,文献的考察を加えて報告する.