日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢癌との鑑別が困難であった著明な粘液産生を伴う胆嚢腺筋腫症の1例
大坪 出味木 徹夫岡崎 太郎松本 逸平福本 巧原 重雄具 英成
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キーワード: 胆嚢腺筋腫症, 粘液, 胆嚢癌
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1988-1992

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抄録

胆嚢腺筋腫症は日常的に遭遇することの多い疾患であり,癌との鑑別や癌の併存が問題となる.今回胆嚢癌と鑑別が困難であった,著明な粘液産生を伴う胆嚢腺筋腫症の1例を経験したので報告する.症例は59歳男性.健診エコーで胆嚢壁肥厚を指摘され,CTで胆嚢底部に隆起性病変と隔壁様構造を認めた.MRIでは底部内腔は不整に描出され,T2強調像で強いhigh intensityを示した.EUSで底部を占拠する腫瘤と内部に高エコー領域を認め,腫瘍内出血が疑われた.肝床浸潤を伴う胆嚢癌の術前診断で,肝床切除術・D2郭清を施行した.摘出胆嚢の底部内腔には黄色透明のゼリー状粘液塊が充満し,底部には著明な壁肥厚がみられた.病理組織学的には高度の平滑筋増生と異型性の無い腺管増生を伴う底部限局型胆嚢腺筋腫症と診断された.胆嚢隆起性病変の鑑別では,充満した粘液がある場合,各種画像診断が困難となることがあると考えられた.

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