日本臨床外科学会雑誌
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症例
多房性嚢胞状腫大を呈した虫垂憩室炎の1例
橋本 昌憲佐伯 博行藤澤 順松川 博史利野 靖益田 宗孝
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2200-2204

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抄録
虫垂憩室炎は稀な疾患で術前診断が困難である.今回,われわれは多房性嚢胞状腫大を呈し虫垂炎,粘液嚢胞性腫瘍と術前鑑別が困難であった虫垂憩室炎の症例を経験したので報告する.
症例は38歳の男性.右下腹部痛のため当院を受診した.急性虫垂炎と診断し抗菌薬治療で軽快した.治療後3カ月が経過し,右下腹部痛の症状が再燃したため当院を受診した.腹部造影CTで虫垂の多房性嚢胞状腫大を認め,虫垂炎の再燃あるいは虫垂粘液嚢胞性腫瘍が考えられ緊急手術を施行した.開腹すると虫垂間膜は硬く肥厚し腫瘤状となっていた.虫垂を切除し術中迅速病理診断を行ったが,腫瘍性病変は認めなかった.術後病理組織学的所見では虫垂に憩室が多発し,その一部に炎症を認めた.術後は合併症なく退院した.虫垂憩室炎は画像診断の進歩とともに超音波検査やCTによる報告例が増加している.右下腹部痛の診断では鑑別疾患として虫垂憩室炎も念頭に置くべきであると思われた.
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© 2013 日本臨床外科学会
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