抄録
症例は50歳,女性.2012年8月腹痛を主訴に当院受診.来院時,右下腹部に圧痛と反跳痛を認めた.CT検査にて盲腸から上行結腸に壁肥厚と腹水あり,盲腸から上行結腸に及ぶ癌を疑い当科入院となった.下部消化管内視鏡検査では盲腸から一部上行結腸に発赤を伴う隆起を認め,粘膜下腫瘤と考えた.生検では炎症細胞のみ.注腸検査では,盲腸から一部上行結腸に立ち上がりのなだらかな隆起を認めた.以上より盲腸から上行結腸に及ぶ粘膜下腫瘤と考えた.悪性疾患が否定できないため切除の方針とした.回盲部切除術施行.経過良好で術後7日目退院.病理組織検査で子宮内膜症の診断.腸管子宮内膜症は主座が粘膜下層以深のため術前診断は極めて困難である.多くの場合,確定診断には切除が必要であり,本症例でも術前確定診断には至らなかった.また,閉経前女性の腹痛において腸管子宮内膜症を鑑別診断に挙げる必要があると考える.