抄録
症例は67歳の男性で,幼少時より肛門部の脱出が認められ,複数の医療機関を受診するも内痔核と診断され,両親や自身による用手還納が行われていた.2009年,排便後に還納不能となり,疼痛が出現したことから他施設に救急搬送され,直腸脱と診断され徒手整復が施行された.その後,精査加療の目的で当院紹介となった.排便造影検査の結果,直腸の仙骨前面固定不良と診断し,直腸固定術を施行した.術後26カ月が経過した現在,再発所見を認めていない.直腸脱の治療において排便造影検査は必須ではないが,病態や発症の要因を客観的かつ再現性をもって把握することができ,比較的簡便な方法である.排便造影は直腸脱の治療法選択に有用であると考えられ,文献的考察を加え報告した.