抄録
症例は62歳,男性.4年前に進行胃癌に対し腹腔鏡下胃全摘術を施行.術後3年7カ月の画像検査にて,小腸腸間膜に腫瘍を指摘された.その後,増大傾向を示し,PET-CTにてFDGの集積を認めたため,胃癌の再発を含む悪性疾患を疑い,腹腔鏡手術の方針となった.腫瘍は,前回Roux-en Y再建を行った際の小腸間膜切離・修復部位に一致し,第一空腸動静脈直上の腸間膜に存在した.腹腔鏡操作による剥離操作を行い,腸管切除なしに,腫瘍のみ摘出しえた.組織学的には紡錘形細胞の増生を認め,免疫染色ではCK(AE1+3),c-kit,CD34,SMA,S100は陰性,β-catenin陽性であったことからデスモイドと診断した.デスモイドは外傷・手術などの機械的刺激がその発生に関与するとされているが,近年盛んに行われるようになった腹腔鏡手術後発生の報告は極めて稀で,文献的考察を加え報告する.