抄録
症例は35歳女性で,妊娠17週.嘔吐,腹痛を主訴に受診した.下腹部に圧痛を認め,右下腹部に腫瘤を触知した.腹部エコーで右下腹部に2cm大のmassを認めた.腹部MRIを施行し腸重積と診断し同日緊急手術を施行した.開腹すると回腸結腸型の腸重積であった.Hutchinson手技で整復したところ,回盲弁から60cm口側に憩室を認め,同部位が先進部と考えられた.憩室を含め4cmにわたり小腸部分切除術を施行した.病理組織は真性憩室でMeckel憩室を先進部とした腸重積と診断した.術後経過は良好で妊娠39週5日に帝王切開術にて出産となった.妊娠中のイレウス症状は妊娠に伴う諸症状と紛らわしく,またX線検査が敬遠されるため,確定診断は必ずしも容易ではない.母児双方への悪影響を排除するため早急な治療が必要である.妊娠中にMeckel憩室による腸重積を発症した症例は極めて稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.