抄録
症例は60歳,女性.下行結腸癌に対して腹腔鏡補助下左半結腸切除を施行後1年目にCT・MRI検査で10mm大の肝転移病変および25mm大の脾転移病変を指摘された.その他に転移巣を認めず切除の方針としたが,肝転移と思われた病巣は横隔膜内に存在していたため,横隔膜の部分切除と脾摘出を併せて行った.病理検査の結果いずれも大腸癌の転移として矛盾しなかった.結腸・直腸癌の横隔膜転移切除報告例はわれわれが検索しえた限り9例と非常に稀であった.また,脾転移を合併していた報告は認めなかった.脾転移に関しては血行性転移と類推されているものが多い.一方,横隔膜転移の機序としてはこれまで横隔膜小孔を介した転移用式が考えられているが,われわれの考察では,むしろ血行性転移の可能性が高いと考えた.今回われわれはいずれも転移様式として稀である大腸癌横隔膜転移と脾転移を合併した症例を経験したため,その転移形式につき考察を加え報告する.