日本臨床外科学会雑誌
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症例
異時性孤立性脾転移をきたしたS状結腸癌の1例
豊島 雄二郎中野 詩朗赤羽 弘充稲垣 光裕栁田 尚之正村 裕紀櫻井 宏冶
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キーワード: 大腸癌, 碑転移, CEA
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2014 年 75 巻 1 号 p. 134-139

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抄録

S状結腸癌術後に孤立性脾転移をきたし脾摘術を施行した1例を経験した.症例は79歳男性で,S状結腸癌に対し腹腔鏡補助下S状結腸切除D3郭清を施行した.病理所見は中分化腺癌tub2,pSS,ly1,v0,pN1,pStage IIIaで,術後補助化学療法としてFOLFOXを12クール施行した.術後1年7カ月後に,血清CEA値が7.9ng/mlに上昇し,腹部CT検査で脾臓に径18mm大の低吸収域を認め,FDG-PETで同部位にFDGの高集積を認めた.脾臓以外には高集積は認めず,S状結腸癌の脾転移を疑い脾摘術を行った.病理所見および免疫染色の所見からS状結腸癌の脾転移と診断した.術後血清CEA値は正常域まで低下した.大腸癌術後の脾転移は非常に稀であり,今後,手術および化学療法を含めた集学的治療についての検討が必要と考えられる.

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© 2014 日本臨床外科学会
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