抄録
症例は55歳男性で,45歳時に髄膜の血管周皮腫hemangiopericytoma(HPC)に対する切除を行った既往がある.2009年5月に施行された腹部造影CT検査にて,肝S6およびS4に造影早期で内部が不均一に早期濃染され,後期相で一部wash outされる多血性腫瘍を認め,肝細胞癌(HCC)の診断にて,肝後区域切除術,肝S4a部分切除術を施行した.しかし,摘出標本の病理検査所見は,紡錘形細胞が血管周囲を取り巻くように増殖しており,免疫染色を追加した結果,HPCと診断された.また,本腫瘍は10年前に摘出されたHPCの病理組織と類似しており,10年後の肝転移再発と診断した.術後4年無再発生存中である.HPCの肝転移に対して肝切除術を施行しえた例は非常にまれである.また,HPCの肝転移巣は多血性であることがあるため,HCCとの鑑別が重要である.