抄録
症例は71歳,男性.T2N0M0,Stage IIの膵頭部癌の診断にて手術を施行したところ,開腹時に肝S4/5に1cm大の円形白色結節を認めた.肝部分切除を施行し術中迅速病理診断に提出し,高~中分化型腺癌であった.診療ガイドライン上は遠隔転移のある膵癌では手術の適応はなく,化学療法やbest supportive careの適応であるが,術前画像診断では肝転移を疑われておらず,原発巣の進行度からは肝転移の可能性が高いとは言えず,原発巣は癌を遺残せず切除できる可能性が高いと判断し,膵頭十二指腸切除術D2郭清を施行した.切除した肝腫瘍は,永久標本では肝内胆管腺腫と診断された.肝内胆管腺腫はまれな良性肝腫瘍で,外科手術時に偶然発見されることが多く,肉眼上は転移性肝癌に似ているため,悪性腫瘍に併存した場合には注意が必要である.今回,膵頭部癌に併存した肝内胆管腺腫の1例を経験したので報告する.