日本臨床外科学会雑誌
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症例
ヘパリン起因性血小板減少症を合併した心拍動下冠動脈バイパス術の1例
岡村 賢一森住 誠河田 光弘末松 義弘
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2014 年 75 巻 1 号 p. 54-59

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抄録

症例は71歳,女性.関節リウマチ,糖尿病,慢性腎障害,閉塞性動脈硬化症の既往あり.急性心筋梗塞・心不全の診断で前医緊急入院し,冠動脈造影検査にて3枝病変を認めた.ヘパリン投与後より血小板減少を認め,HIT抗体陽性にてヘパリン起因性血小板減少症(HIT) type IIと診断された.その経過中に腎障害増悪にて透析3回/週となり,静脈血栓症も発症した.手術目的で当院転院後,カルペリチドによる薬剤性血球減少も併発した.術中抗凝固にアルガトロバンを使用してOPCAB3枝を施行し,術中・術後に血栓症などの合併症なく経過,透析も離脱し軽快退院した.今回われわれは,HITを合併し,その他併存疾患多数のハイリスク症例に対してアルガトロバンを用いて心拍動下冠動脈バイパス術を施行した1例を経験したので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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