日本臨床外科学会雑誌
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症例
透析用カテーテル留置が誘因と思われる右内頸静脈血栓症の1例
小杉 郁子木内 竜太大竹 裕志
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2014 年 75 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

症例は,既往歴に高血圧・慢性腎不全を有する66歳男性.2009年5月から血液透析を要する状態となり,右内頸静脈に透析用ダブルルーメンカテーテルを留置して透析を導入し,並行して右前腕内シャント作成術を行った.2010年11月に甲状腺・頸動脈エコーを施行した際に右内頸静脈内に26×11×9mm大の腫瘤を指摘された.腫瘤は静脈壁と接しておらず,頭側に索状物で静脈壁に係留されているようであった.肺動脈血栓塞栓症予防を目的に,全身麻酔で右内頸静脈内腫瘤摘出術を施行した.腫瘤は頭側・尾側にそれぞれ静脈弁と思われる索状物で壁に係留されたラグビーボール形の血栓であった.上肢・頸・上大静脈の深部静脈血栓症に対する外科的治療は内科的治療が奏効しない場合とされるが,本症例は特異な形状の腫瘤様血栓であり,遊離した場合は高確率で肺血栓塞栓症を発症すると予想されたために血栓摘出術を施行した.

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