抄録
45歳,男性.未治療の高血圧あり.急性発症の背部痛で当院を受診し,CTでB型急性大動脈解離と診断された.解離は左腎動脈に達しており,左腎の2/3の領域は梗塞となっていた.腹腔動脈・上腸間膜動脈・右腎動脈はいずれも真腔灌流であった.臓器虚血所見はなく降圧,鎮痛療法を中心とした内科的治療を開始した.入院11病日より腎機能および下肢虚血症状の急速な悪化をきたした.偽腔の拡大により右腎動脈の真腔灌流が阻害された可能性が高いと判断し,第14病日に右Axyllo-Femoral bypass術を施行した.術後は腎機能および下肢血流の速やかな改善が得られた.臓器虚血を伴うB型大動脈解離に対しては,非解剖学的バイパス術や内膜開窓術で臓器灌流を早期に確保したうえで,その後必要な治療を検討するのが妥当と考えられた.