日本臨床外科学会雑誌
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症例
梗塞壊死を伴った乳癌の1例
中西 賢一武内 大都島 由希子林 裕倫菊森 豊根
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キーワード: 乳癌, 梗塞壊死
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2014 年 75 巻 10 号 p. 2707-2710

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抄録

症例は74歳,女性.右乳房に腫瘤を自覚し,疼痛も出現したため当院を受診した.視触診では右乳房A領域に2cmの弾性硬の腫瘤を触知した.マンモグラフィ検査では右内上に境界不明瞭な高濃度腫瘤を認めた.超音波検査では右乳房AC領域に2.3cmの不整形腫瘤を認めた.MRI検査では早期より辺縁境界部にリング状の造影域がみられ漸増性の造影効果を示していた.穿刺吸引細胞診,針生検組織では著明な壊死が認められ,一部に乳管癌が強く疑われた.中心壊死を起こす増殖能の高い乳癌を疑い,全身麻酔下に右乳房円状部分切除およびセンチネルリンパ節生検を行った.術後病理組織診断では結節状の梗塞壊死組織巣を認め,少し離れたところに微小浸潤癌を認めた.
今回,われわれは梗塞壊死を伴った乳癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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