症例は20歳,男性.スクーター運転中の交通事故で当院へ救急搬送された.来院時の腹部造影CT検査にて,左の腹直筋外縁の腱膜に4cm×6cm大の欠損を認め,その皮下に小腸を認めた.外傷性Spigelヘルニアの疑いにて,来院当日に緊急手術を施行した.腹直筋外縁に沿って外腹斜筋腱膜・腹横筋腱膜は約7cmにわたって断裂し,外傷性Spigelヘルニアと診断した.他に臓器損傷はなく,筋膜の単純閉鎖を行った.術後経過は良好で術後7日目に退院した.術後21カ月間でヘルニアの再発は認めていない.本邦において外傷性Spigelヘルニアの報告はまれであり,文献的考察を加え報告する.