抄録
症例は45歳の女性.下腹部痛を主訴に当院救急外来を受診した.身体所見上,帝王切開創に軽度圧痛を認めたが,反跳痛および筋性防御は認めなかった.腹部造影CTでは小腸拡張を認めるも絞扼所見なく,骨盤内で多発子宮筋腫と子宮内膜症性嚢胞病変,近傍での腸管狭小化を疑った.その後,保存治療で改善せず手術を施行した.手術所見では,卵巣は正常で内膜症所見なく右の傍直腸窩に約7cmにわたって嵌頓した腸管および同部位に腹膜の欠損孔を認め内ヘルニア嵌頓と診断した.そのため,欠損孔は単純縫合閉鎖とし,小腸は腸管壊死をきたしていたため小腸部分切除とした.術後経過は良好で合併症を認めず,術後21病日に軽快退院し,術後6カ月現在再発を認めていない.傍直腸窩に発生した内ヘルニアは非常に稀であるが,原因不明の腸閉塞の際には,鑑別疾患として本疾患も念頭に置く必要がある.